2009年09月01日

民主党政権下の労務、雇用政策の影響は?

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。 

 

先日の衆議院選挙によりいよいよ民主党政権が発足しますが、

公約(マニフェスト)に掲げた新政権の新たな政策が

中小企業の労務、経営にどう影響を与えるのか注目されるところです。

 

そこで民主党政権下による労務面の施策について

民主党マニフェストをもとに、 個人的な予想を簡単にまとめてみました。

 

まず注目すべき点として、最低賃金の引き上げがあります。

現在、最低賃金は都道府県別に定められており、福井県の20年度の

1時間当たり最低賃金は670円(同、石川673円、富山677円)となっています。

最も高い東京で766円、景気の悪い沖縄などでは627円ですが、

これを全国一律800円にし、将来的には1,000円まで引き上げよう

という民主党のマニフェストです。

 

【マニフェスト抜粋(最低賃金引上げ)

【政策目的】

まじめに働いている人が生計を立てられるようにし、ワーキングプアからの脱却を支援する。

【具体策】

貧困の実態調査を行い、対策を講じる。

最低賃金の原則を「労働者とその家族を支える生計費」とする。

全ての労働者に適用される「全国最低賃金」を設定(800円を想定)する。

景気状況に配慮しつつ、最低賃金の全国平均1000円を目指す。

中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する。

<所要額>2200億円程度

 これは経済界の反発必至の案ですが、「800円を想定」となっていることから、

基準の引き下げも考えられると思います。

 ポイントは、

「中小企業における円滑な実施を図るための財政上・金融上の措置を実施する」

としてあるところで、例えば時給700円だった企業が800円に引き上げた場合、

引上げ額の何割かを国が補てんする?というようにも読み取れますが、

それにしては所要額の2200億円というのは少なすぎる感はあります。

 

現実的に考えられる線としては

300人以下の中小企業は暫定的に最低賃金を700円とする…

などといった移行措置の盛り込みが濃厚かと思います。

 

いずれにしても賃金は労使の需給バランスで決定されるものであり、

あまりにも実態と離れた給与を支払うことを国が強要するのは企業倒産に繋がる

ばかりか、資本主義の原則からも逸脱してしまいますので慎重な検討が望まれます。

 

他に労務面で気になるマニフェストとして

「製造現場への派遣を原則禁止する」

「雇用保険を全ての労働者に適用する」などがあります。

 

雇用保険について具体的に政策集では

「雇用保険の被保険者となることができるのは、原則として6月以上の雇用の見込みがある場合ですが、31日以上の雇用期間がある全ての労働者を原則として、雇用保険の一般被保険者とする(政策集抜粋)」

としており、1か月だけの契約のアルバイトでも雇用保険をかける

ように強化をするようです。

しかし、雇用保険は現在自己都合退職で1年、解雇等であっても6カ月以上勤務しないと

給付が受けられません。

 

つまり元々1か月しか雇用見込みがない人に雇用保険をかけさせても、結局

他とうまく合算できない限りは失業給付は受けられず、会社も本人も

「掛け損」になってしまう公算が強いのです。

そういった事情から、あえてこれまでは6カ月や1年の雇用見込みのある人だけが

被保険者になるというルールになっていたのですが、これを分かった上で1か月にすると

いうのであれば、掛け損にしないために1カ月だけの勤務でも失業給付を支払う

ようにするのでしょうか?

 

それはもはやばら撒きというレベルを超えてしまいますので

あり得ないと思いますが、 色んなマニフェストを見ていくと、

首をかしげるものがあるのも事実です。

国民の生活は大事ですが、生活を安定させる財源は政府のお金ではなく、

地域の企業の経済活動によるものだという資本主義の原則を忘れずに

今後の政策を進めてほしいと思います。

2009年11月25日

新政権下「事業仕分け」の影響は?

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。

 

民主党政権下で「事業のムダ」を見直すとして進めている

事業仕分けが注目を浴びており、11月の24日からは後半戦がスタートしました。

少なからず労務に関わるところがあるようですので、前半で話し合われた

「厚生労働省関連」の事業を一部抜粋してみました。

 

まず、廃止の方針が出されたものから

【独立行政法人雇用・能力開発機構運営費交付金等】

この(独)雇用能力開発機構は「私のしごと館」などの事業運営や福利厚生施設を

自治体等に安価で売却していたことなどが批判を浴びて昨年12月に廃止が決定され、

職業訓練以外の殆どを自治体などに引き継ぐ決定がされてますが、

今回の判定ではその職業訓練についても地方や民間に移管すべき、との判定がでました。

 

【職業能力習得支援制度実施事業、キャリア・コンサルティングによるメール相談事業】

基礎的な職業能力があると認められる若者に証明書を発行したり、

事務職などの職業能力を評価するビジネス・キャリア検定を実施していたようですが、

実行性に疑問があったようです。

あとキャリア・コンサルティングについてのメール相談が1日平均35件しかないと

言われてますが、個人的にはむしろそんなにあったことが驚きですね。

意外と周知させれば需要はあったのかもしれません。

 

【高年齢者職業相談室運営費】

高年齢者の就職支援に向けて自治体などに相談窓口を設置する事業で、

3億円の概算要求がありました。

ただこの相談室では「相談は受けられても職業の紹介はできない」ので

仕分け作業では「ハローワークで対応した方が効率的だ」との意見が続出したようです。

まあこの決定はごもっともですね。

 

また、廃止ではないですが、予算を3分の1ほど削減するように求められた事業に

以下のものがあります。 

【シルバー人材センター援助事業】

【企業年金等普及促進費】

 

そして一般会計(本予算)で行われているものを

特別会計(雇用保険料など各省庁独自の予算)へ移行

するよう求められたものに以下のような事業がありました。

【フリーター等正規雇用化支援事業など】

 

これは「若年者等正規雇用化特別奨励金」で

「25歳以上40歳未満かつ1年間雇用保険加入歴が無い人」

を一定の要件で雇い入れたら100万円!という大判振る舞い助成金の

原資となっている事業ですね。

財源を雇用保険料(特別会計)と、一般会計の両方から捻出してましたが、

特別会計に絞るとの判定で、存続するが助成金は減額?などの方向でしょうか?


そしてこれは変わった判定ですが・・・

【生活保護受給者のうち就労能力がある者の支援対策】

就労意欲や能力がある生活保護受給者に、福祉事務所で民間企業OBなどが

就労を支援する事業で、「珍しくいい政策」との評価がでたとか。

実施する福祉事務所を増やすようプラス見直しのようです。

 

その他、 様々な事業費の仕分け作業がされてますが、

一国民、一事業者として、公正な視点で慎重に見直しをして頂きたいと思います。