2009年07月22日

基本給、各種手当を決めるポイント

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。

 

就業規則の中でも最も会社ごとの特徴が表れやすいのが

賃金(給与)の規定です。

中小企業では基本給と通勤手当しか出してない会社もあれば、

業務手当、役付手当、繁忙手当、住宅手当etc・・・

基本給を低くしてとにかくたくさんの手当を支給している会社もあります。

 

どちらが正しいとはいえませんが、少なくとも手当を支払うときは

チェック.gifそれぞれの手当を何のために付けているか?

チェック.gif手当の額の定め方に合理性はあるか?

 

を最初に決めておかないと後々他の従業員との

バランスが崩れ、色んな矛盾が生じてしまいます。

 

これは実際に近いことがあった事例です。

基本給を年功序列で昇給しているI社で、同期のAさんとBさんという社員がいました。

Aさんは結婚して子供が生まれ、新築の家のローンも組んだことから

生活も大変だろうと思った社長が家族手当と住宅手当を合わせて

5万円付けてあげました。

一方Bさんは独身でしたが、仕事が出来、課長職相当の仕事を任せられるように

なったので役職手当3万円を付けました。

 

ところが数年後、Aさんのほうが2万円給与が高いことを知ったBさんが

「何故上役についてる自分のほうがAさんより給与が低いのか?」

と社長に申し出ました。

社長は確かにAさんよりBさんの方が会社への貢献度も高いし、これでは

アンバランスだと思いましたが、Aさんの給与を下げるわけにもいかないため、

Bさんの役職手当を2万円上げ、5万円とすることで調整することにしました。

 

その後、Aさんも仕事を頑張り、Bさんと同じ課長職につきました。

ところがAさんにも5万円の役職手当をつけるとまたBさんとのバランスが

崩れるので、Aさんの役職手当は1万円におさえ、同時にBさんの基本給を

1万円昇給することで調整しました。

 

結局この会社では手当は総額を調整するための手段となってしまい、

全く合理性がなくなってしまっています。 

この事例では元々Aさんの職務や能力とは関係のない福利厚生要素として

家族手当と住宅手当を付けているので、Aさんの給与総額が高くても

制度上は問題なかったはずです。

 

問題は他の社員とのバランスに社長も社員も納得出来なかったこと

(額や基準などの制度を落とし込めてなかったこと)にあります。

 

賃金制度を設計するにあたっては、まずはどのような賃金体系にするか

「賃金を決定する要素」を定める必要があります。

シンプルで合理的な賃金体系にするためには基本給と手当の

それぞれの対価をはっきりさせることがポイントです。

下図は一例です。 

 

teate.jpg

 

 この例のように

“どの手当が何に対する対価”であるかを明確にしましょう

 

少し偏見になるかも知れませんが、

手当は頑張った社員を昇給するための手段ではありません。

手当はその手当に該当する事由があったからつけるのです。

(役職についた、資格を取得した、扶養家族が増えたetc…)

昇給するときは基本給を調整するのが原則です。 

 

以上のような考え方を基に、

シンプルで分かり易く従業員にとっても納得度の高い

給与体系を構築することをお勧めします。 

 

 

2009年08月18日

経営方針に合わせたちょっと面白い手当の導入

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。

 

前回、給与体系については「どの手当が何に対する対価」

あるかを明確にする重要性をお話ししましたが、

これは言い換えれば会社は手当を支払うことによって会社の方針、

メッセージを社員と共有する、ということにも繋がります。

 

一つ、エピソード形式でご説明します。

喫煙者の多かったある製造業A社の事例です。

 

 A社では非喫煙者からの苦情要望があがったことから、

工場内での喫煙を禁じて、外に喫煙所を設けました。

 

すると喫煙する社員は1日に5回程度、就業時間中に外の喫煙所へ

煙草を吸いに出るようになりましたが、

これを社長は問題視するようになりました。 

仮に喫煙に行くと1回5分×5回=25分、1日当たりの作業を

ストップさせることになるので業務効率も落ちるし何とかしたい・・・。

 

喫煙時間の給与を控除することも考えましたが、

正確に喫煙時間を測定することは不可能に近いですし、

逆の発想から煙草を吸わない社員に対し、禁煙手当を支給

することを考えました。

 

結果としてこの手当の導入を機に禁煙を決意した社員もおり、

禁煙を奨励することで業務効率化だけでなく、

社員の健康増進にも繋がり、火災リスクの軽減、環境美化等

メリットも大きく、社長は導入した効果を十分に感じることが出来ました。

 

この場合手当の額はそれほど大きくなくても構いませんが、禁煙に対して

金銭的な対価を設けることで、会社のメッセージを強く社員に

理解してもらうことになります。

 

<禁煙手当の規定例>(参考)

第○条(禁煙手当)

  禁煙手当は、会社の勤務時間中に喫煙を一切行わなかった者を対象に、月額5,000円を支給する。

(2)会社は業務効率化、及び従業員の健康増進と火災などから会社を守るため、敷地内での禁煙を奨励するもので、喫煙の習慣の有無に関わらず、勤務時間中の喫煙をしなかった場合に前項の額を支給する。

(3)なお1本でも喫煙した者は当日に会社まで所定の用紙で申告すること。申告した者はその月の禁煙手当の支給の権利を喪失する。

 

また、変わったところでは、動物医薬品事業を行う会社で、

ペットを飼う社員に対して扶養手当を支給する、という事例も

あります。

これも普段からペットの世話をすることが間接的にでも業務に役立つ、

というトップの考えのもと導入されたと思います。

 

その他、ユニークな手当として

◆誕生日手当・・・会社から社員へのお祝いとして誕生月に支給

◆部下手当・・・管理職が部下との会食費や冠婚葬祭費に充てるために支給

◆デート支援金・・・遠隔地へのデートを通じて取材、情報収集を奨励等 etc

 

・・・ここで挙げたもの以外でも会社の業態、経営方針に応じて様々な手当が

考えられると思います。

社長自身が何のために支給しているか定まっていない手当よりも、

この手当を支給することでこの効果を狙う!

というメッセージ性の強い手当を考えてみては如何でしょうか?