2009年07月31日

社員の身だしなみはどこまで規制できるか?

nigaoe.jpg こんにちは。富山事務所の蓑輪です。

 

 本日は「社員の身だしなみはどこまで規制できるか?」と題して、社員の身だしなみと就業規則の関係について考えてみたいと思います。

  

 最近の若い人は、性別に関係なく、茶髪やピアスは当たり前、ときにはタトゥー(刺青)を入れたりすることもファッションとして楽しんでいます。まぁ、個人的なファッションとして楽しむのなら、何をやっていても自由かもしれません。しかし、会社に勤める組織人としては、自由すぎる格好が問題になることもあります。

  

 我々も経営者の皆様から、「社員の茶髪を規制したい!!」とか、「ピアスをしている若いやつをクビにしたい」という相談をお受けすることがあります。

  

 確かに、個性的な格好をする社員が多いと、企業イメージを損ねてしまうのではないかと心配する経営者の気持ちは痛いほど分かります。私個人の感覚で言っても、鼻にピアスをつけている社員やタトゥーを入れている社員が営業に来るような会社とはお付き合いしたいとは思いません。

  

 そこで、「社員の身だしなみを就業規則や社内規程で規制できるのか?」が問題になります。

 

 結論から言えば、規制することは可能であると考えます。しかし、その際、次のような観点から見て、やり過ぎ・行き過ぎがないか、常に注意しなければいけません。

 

チェック.gif 御社はどんな業種ですか?

 例えば、美容院の場合、カッコよく茶髪にしている美容師さんがいることは必ずしもマイナスにはならないでしょう。だから、規制をすることで業績がダウンしてしまう恐れもあります。逆に、高校の職員が茶髪にすることは生徒指導を行う上で、問題になります。よって、強い規制が必要になります。このように、社員の身だしなみを規制する際は、自社の業種に即して、やり方を考えなければいけません

 

チェック.gif 規制の対象になる社員の職種は?

 会社の顔となる営業マンなどは、厳しい規制の対象になってしかるべきかもしれませんが、工場の作業担当者や長距離トラックの運転手などに対しては、営業マンほど厳しい規制はかけられないかもしれません。職種によって規制の程度を調整していく必要があると思います。

 

チェック.gif 服務規律に違反した社員への処分は可能か?

 これもケースバイケースです。例えば、派手な格好をする営業マンに顧客からの苦情が殺到し、その結果、売上も減ってしまった場合は、懲戒処分に処することも可能でしょう。ただ、一方で、トラックの運転手を、茶髪を理由に解雇した会社に対し、「取引先からの苦情もなく、会社の営業にも悪影響がなかった」として、当該解雇が無効になったという判例もあります(東谷山家事件 福岡地裁判)。このように、社内規制の違反者に対する処分の程度は、対象者の職種や顧客からの苦情の有無、それによる業績の悪化などを総合的に考慮して、決定すべきであると言えます。

 

 このように見てくると、「個人のファッションや服装を会社がどこなで規制できるか?」というのは、微妙な問題のように感じます。

  

 しかし、会社としては、企業秩序を維持する義務があります。極度に社内の秩序を乱すような行き過ぎた服装などには、厳しい規制をかけることも可能でしょう。ただし、行き過ぎだけはないようにお気をつけください

 

2009年08月25日

インターネット、社内メール等の利用と就業規則

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。

 

昨今ではインターネットや電子メールは業務に欠かせないものと なっており、

パソコンの使用を巡ってトラブルに発展するケースも少なくなくなってきました。

会社としてはパソコンを貸与する以上、様々な問題を想定して対策をたてる

必要があります。

 

考えられる代表的なリスク、問題としては、

チェック.gif1台のPCのウィルス感染からの社内LANシステム全体の停止

チェック.gifメールの誤送信などによる個人情報や会社の機密情報の漏えい

チェック.gif従業員の私的なWEBサイト閲覧、私的メールの使用

etc・・・などがあげられます。

 

まずはセキュリティソフトを導入したり、社員にネットワークを構成する一員として

自覚を促すことが先決ですが、最近はむやみに不必要なサイトを閲覧することが

ないよう 社内のネット利用を監視するソフトも数多く出ております。

また、メールについてもサーバーのログを辿って見ることが出来ます

 

ただ現実には一々チェックしている暇のある経営者は少ないと思いますので

これらを導入して発表することで、社員に「ネット利用を監視されている」

という意識を持たせて、私的利用の抑止効果を促すことも重要です。

 

そして、社内でネット閲覧やメール利用を制限する場合は就業規則や規程などで

従業員に周知しましょう。

 

また電子メールの私的利用などを理由とする解雇無効を争った判例として以下の

グレイワールドワイド事件(東京地裁平成15年9月22日判決)がありますが、

この事件ではメール利用と就業規則の関連性にも言及しています。

 

裁判所の判断では

「労働者は,労働契約上の義務として就業時間中は職務に専念すべき義務をおっているが,労働者といえども個人として社会生活を送っている以上,就業時間中に外部と連絡を取ることが一切許されないわけではなく,就業規則等に特段の定めがない限り,職務遂行の支障とならず,使用者に過度の経済的負担をかけないなど社会通念上相当と認められる程度で使用者のパソコンを利用して私用メールを送受信しても上記職務専念義務に違反するものではない」

としました。

 

つまり、

チェック.gif就業規則上で私用メールが禁じられていなかったこと,

チェック.gif労働者の送受信したメールが1日あたり2通程度であったこと

などから、私的なメール利用が職務専念義務違反にあたらないと判断しています。

 

言い換えれば、ある程度の私用メールを制限する場合は、

少なくとも就業規則で 私用メールを禁じる条項を入れなければならない

とも取れます。

  

【簡単な条文記載例】

第●条 従業員はインターネット、電子メール等、会社のパソコンを業務以外の目的で利用してはならない。また業務に利用する際は社会的責任、法的責任を十分に認識し慎重に行うこと。

(2)会社のパソコンを業務以外の目的で利用した場合は第×条の懲戒処分または第○条の解雇処分の対象となる。

(3)会社は従業員のインターネット、電子メールの利用状況等を従業員の承諾なく、必要に応じて調べることができる。

 

またメールなどにより個人情報や会社の機密情報が漏えいしてしまった場合、

賠償請求が絡んでくることもありますので、このあたりも含めて会社のルール作り

をしなければいけません。

 

ただし、社内での私用メール監視について、職務上の合理性がない場合などは

プライバシーの侵害として逆に訴えられることもあります

(F社Z事業部事件、東京地裁平成13年12月3日判決)

ので、会社側もやりすぎないよう注意しましょう。