2009年07月11日

懲戒処分の種類

nigaoe.jpgこんにちは。富山事務所の蓑輪です。

 

 さて、今回は「懲戒処分の種類」についてお話させていただきます。

  

 懲戒処分とは、「不正・不当な行為に対する制裁行為」です。一般に懲戒処分は、不正行為を働いた公務員を懲らしめるために行われます。しかし、民間企業においても、職場規律に違反して、悪いことをした社員に対し、懲戒処分を科することがあります。

 

 ただし、民間企業が社員に対して、懲戒処分を科するには「あらかじめ就業規則で定められた範囲内で行わなければいけない」とされています(フジ興産事件 最高裁第二小法廷判決 H15.10.10他)。

 

 そこで、多くの会社では、就業規則に次のような条項をあらかじめ規定しておきます。

 チェック.gif 懲戒処分の種類
 チェック.gif 懲戒処分の手続き
 チェック.gif どんな場合に懲戒処分を科するか など

 
 そこで、今回は懲戒処分の種類にはどのようなものがあるのかを解説します。代表的な懲戒処分には、処分の程度が軽いものから順番に次のようなものがあります。 
 

  • 譴責(けんせき)
    始末書を取って、将来を戒める処分
     
  • 減給
    始末書を取って、給与を減額する処分
     
  • 出勤停止
    始末書を取って、一定期間出勤を停止し、出勤停止中は無給とする処分
        
  • 諭旨退職
    本来であれば、懲戒解雇である社員に対し、温情として辞表を出させる処分
     
  • 懲戒解雇
    予告なく即日解雇する処分(退職金を支払わない場合もある)
      
  • その他
    上記以外にも、降格・降職や懲戒休職という処分もある
     

 なお、懲戒処分に関する法的な規制としては次の3点です。少し難しい内容ですが、理解しておく必要がありますので、記載しておきます。

  1. 「減給処分」を行う際は、1回の額が日当の半額以下でなければいけない。また、複数回の減給処分を行う場合であっても、総額が月給の10分の1以下でなければいけない(労基法第91条)
     
  2. 懲戒解雇であっても、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払わなければいけない。ただし、労働基準監督署長の認定があれば、支払は不要となる(労基法20条)
     
  3. 合理的な理由のない懲戒処分は無効(労働契約法第15条)
      

 懲戒処分の制度を設計する場合は、上記3つの法的規制に適合したものとなるよう配慮する必要はあります。その他の点については、常識の範囲内で自社の考え方に合ったものを設計するといいでしょう。

 なお、懲戒制度はある程度自由に設計できるとは言っても、就業規則作成時には労働法に関する相当深い知識が必要になります。本ブログでは、追々制度設計に必要な知識の一部をご紹介していきます。

2009年11月01日

表彰制度をしっかり機能させるためには?

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。 

 

就業規則においては「懲戒」と「表彰」は同じ章に入ることが

多いのですが、どうしても懲戒の方がボリュームが大きく、

表彰の条文はおざなりにされがちです。 

アメとムチではないですが、罰するだけでなく、頑張ってくれた従業員に対して

明確な形で報いる制度を導入することは組織風土改善にも重要です。 

 

 <一般的な表彰規定例>

第◆条 (表彰) 

会社は、従業員が次の各号のいずれかに該当する場合は、表彰する。
    1. 業務上有益な創意工夫、改善を行い、会社の運営に貢献したとき
    2. 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき
    3. 災害の防止または非常の際特に功労があったとき
    4. 前各号に準ずる程度の業務上の功績が認められるとき

(2)表彰は賞状、記念品または賞金を授与してこれを行う。

 

中小企業の多くの就業規則ではこのような表彰規定となっていることが多いのですが、

作るだけでなかなか実行できていない中小企業が多いのが実態です。

その理由として、

チェック.gif表彰の具体的な仕組みなどを決めていない

チェック.gif表彰に値する事柄があったかどうか、審査する機会がない

ということがあると思います。

 

例えば例文のように

2. 永年にわたって誠実に勤務し、その成績が優秀で他の模範となるとき

などは曖昧な文章のため、

一体何年勤めれば?いつ?何をもって?

表彰がされるかが会社側も従業員側も分からないのです。

 

実効性のある規定にするためには、以下のように

ある程度具体的に表彰制度の概要を定めましょう。

 

<永年勤続表彰規定例> 

第△条(永年勤続表彰)

 会社は永年に渡って誠実に勤務し、他の社員の規範となる者を奨励するため永年勤続表彰を行う。

(2)永年勤続表彰の対象者は勤続年数が満10年、20年、30年、40年に達した者とする。

(3)前項にかかわらず、次のいずれかに該当する者は表彰を行わない。
 1.表彰日に在籍しない者
 2.勤続算定日に満65歳以上の者
 3.表彰日前1年間に懲戒処分を受けた者
 4.その他会社が永年勤続表彰をすることを適当でないと認めた者

(4)勤続期間は入社日から毎年8月6日の創立記念日までの年数(1年未満切捨)とし、パートタイマー、契約社員として雇用された期間、休職期間、出向先における勤続年数を通算する。

(5)表彰の方法は賞状のほか勤続年数に応じて次の記念品を贈呈することで行う。 

 勤続年数  表彰内容
 満10年  賞状ならびに1万円相当の記念品
 満20年  賞状ならびに2万円相当の記念品
 満30年  賞状ならびに3万円相当の記念品
 満40年  賞状ならびに4万円相当の記念品

(6)永年勤続者の表彰は毎年8月6日の設立記念日(休日の場合は前日)に、全従業員の前で行う。

 

これは永年勤続だけの規定例ですが、

このように永年勤続の年数、対象者、起算方法、表彰の内容、表彰日、

まで具体的にしっかり定めて周知させることで実行性が保たれます。

 

最初は面倒と思っても、毎年恒例の行事として永年勤続者に賛辞を呈することが重要です。

従業員も、慣れた職場の中であってもやはり皆の前で表彰を受けることで

改めて会社に必要とされていると感じ、モチベーションアップにも繋がります。

 

今回は永年勤続だけの例ですが、例えば業務上の功績を称える表彰などであれば

表彰審査委員会を設けたり、他の社員からの推薦制度を設けたりするなど

実行性を担保できるような形を作ることからよりよい組織づくりを目指しましょう!

 

↓この記事が少しでも参考になった方はクリックご協力下さい↓

personnel88_31.gif