2009年07月07日

始業前の準備は労働時間?

似顔絵全身p.pngこんにちは、福井事務所の今井です。

 

今日は労働時間の中でも解釈が難しい

始業時刻前の準備時間についてお話します。

 

まず就業規則においては必ず記載すべき事項として

始業時刻、終業時刻、休憩時刻などを定める必要があります。

 

仮に始業を8時30分からとした場合、

中には8時に出勤して自主的に社内の清掃をする殊勝な方も

いれば、毎日8時30分ギリギリに出勤してくる方もいて、

出社時刻は従業員の仕事に対する姿勢や性格が分かるポイントでもありますね。

 

会社の立場としては

少なくとも始業10分前には出勤して、仕事の準備をするべき!

だと思いますが、 法律や判例では会社側に厳しい解釈もあります

 

そこでちょっとした問題です。

下記のケースの始業時刻前の時間は労働時間となるのでしょうか?

A.全社員に始業10分前の出勤を義務付けて、朝礼を行っている時間

B.始業時刻前に出勤した事務員が、机周りの整理整頓をしている時間

C.始業時刻前に出勤した営業社員が更衣室でTシャツをスーツに着替えている時間

D.建設業で、始業時刻前に事務所に立ち寄り必要な工具を車に積んで現場に向かう時間

 

労働時間となるかどうかのポイントは大きく、

1.使用者の指揮命令下(黙示的な指示命令も含む)にあるか

2.仕事を行う上で必然的に付随する行為であるか

3.作業準備として法令で定められた行為であるか

の3つです。

 

この点から見ていくと、まずAのケースでは10分前の出勤を

義務付けて朝礼を行っているので、使用者の指示に基づく時間とみなされ

労働時間となる可能性が高いです。

 

Bのケースは程度によっては微妙ですが、特に指示命令された整理でなければ

労務提供のための準備行為として労働時間とみなす必要はないと思います。

 

Cについては、営業社員にとってスーツは通常の服装であり、

始業前の一般的な準備として、 指揮命令を受けて行われる

というほどのものでもないので労働時間とみなす必要はないでしょう。

 

ただし、会社で制服が義務付けられており、なおかつ制服での

通勤を認めていない場合の制服着替え時間や、

労働安全衛生法などで 着用を義務付けられている作業服や

保護具の着用時間は労働時間に算入するという解釈があります。

 

最後にDですが、事務所に立ち寄って作業に必要な工具を積んで現場に向かう行為は

職務遂行の付随行為として必然性があり、事務所から現場までの移動時間は

労働時間とみなすべきであると思います。

 

いずれにしても始業時刻前の出勤は社会人のマナーとしては常識ですが、

会社として具体的に指示命令する場合は労働時間と解されるので

あくまで心得を「始業時刻までに仕事の準備を整えておくこと」

として従業員に周知させる程度にとどめておきましょう。